帯域内に出るノイズシェーピングノイズから見るADCチップ特定方法
タイトルなげえ!serです。
ノイズシェーピングノイズ。何言ってるのかよく分からない言葉ですが、現代的な⊿Σ型ADCチップで用いられている、全帯域の量子化ノイズを高域に持っていくノイズシェーピングで移動された、高域側のノイズのことです。簡単に言えばこれです。
ちなみにこのノイズをノイズシェーピングノイズと呼んでいるのは自分だけだと思います。正確を期すならば、「ノイズシェーピングによる高域のノイズ」となると思うんですが、人によってシェーピングノイズだったり、量子化ノイズ(元々は量子化ノイズ)、ディザノイズ(ノイズシェーピング自体がディザみたいなもの)と呼んでいるようです。まぁここではノイズシェーピングノイズに統一します。
さて、このノイズシェーピングノイズですが、ADCチップのアルゴリズムの影響をもろに受けます。そもそも帯域内に出ること自体おかしいのですが、DACに比べてADCはオーバーサンプリングが低倍数で行われているという現実があって、DACと違い、176.4kHz/192kHz時にはノイズが帯域内に出てしまうことがほとんどです。ですので、現行機種の場合、これの傾向を見ると大体ADCチップが特定できてしまいます。
そもそもノイズシェーピングはアルゴリズムにもよりますが、大体1/128Fsからノイズ量が増加してきます。DSDのノイズ分布をみると分かりやすく、DSD64の場合サンプリングレート2.8224MHzの1/128(つまり22.05kHzぐらい)からノイズが出てくるのが分かります。
現行のADCチップの設計は、ほとんどがある一定のサンプリングレートでサンプリングした後、ノイズシェーピングをし、指定のフォーマット、サンプリングレートにするためのフィルターを通しているため、最初のサンプリングレートとノイズシェーピングアルゴリズムが全フォーマット/サンプリングレートで大切になってきます。そして最初のサンプリングレートですが、ほとんどのADCが44.1kHz x 128です。つまり、44.1kHzあたりからノイズが出てきます。なのでサンプリングレートが176.4kHz/192kHz時にはそのノイズが帯域内に見えてしまうということになります。
つまり、ノイズシェーピングノイズの有無、またその量によってADCチップのサンプリングレートとアルゴリズムがある程度類推できる=ADCチップの特定が出来る、ということになります。
さて、長くなりましたが、肝心の見分け方行ってみましょう。
方法は簡単、ADCに何も信号を送らない状態でサンプリングレートを176.4kHz/192kHzにし、ノイズフロアを見るだけです。ここではWavespectraを使ってますが、まぁ何だっていいでしょう。
・ノイズシェーピングノイズがない
AKM AK5394AもしくはARDA AT1201です。
AKM AK5394Aは珍しく176.4kHz/192kHz時のみサンプリングレートが128倍だったものが44.1kHz x 256まであがります。AT1201は44.1kHz x 512でサンプリングしています。そのため、176.4kHz/192kHz時でもノイズが見えません。更に言えば、AT1201は384kHz時でも見えません。
注:AT1201の使い方によっては256倍でサンプリングしている場合もありますが、どちらにせよ、176.4kHz/192kHz時にノイズは見えません。
・ノイズシェーピングノイズが少ない(ピークが-120dB以下)
TI PCM4222、PCM4220。
・ノイズシェーピングノイズのピークが110dB前後
AKM系。
・ノイズシェーピングノイズのピークが100dB前後
Cirrus Logic系。
・ノイズシェーピングノイズのピークが90dB前後(もしくはそれよりも高い)
TI系。
以上。AKMの新しいシリーズがどうなるのか楽しみです。
・おまけ
ノイズシェーピングノイズの何が問題かというと、176.4kHz/192kHz時にノイズがあるとマルチトラック録音時に重なって、とんでもないことになるということです。そのままのレートで出す場合も再生時に混変調歪みを引き起こす可能性がありますし、SRCして低レートにする場合も折り返しノイズもしくはプリ/ポストエコーが異常に出る恐れがあります。
解決策としてはプラグインか何かのEQでハイをカットすることが挙げられますが、20kHz以上をサポートしているEQは少ないです。プラグインではFabfilter Pro-Q2,DMG Audio EQuilibriumでカットできることを確認しています。
ちなみにTASCAM DA-3000はTI PCM4202を使っていますが、それで192kHzのマルチトラック録音をし、ノイズシェーピングノイズをケアしないととんでもないことになります。
気をつけましょう!
・おまけのおまけ
ここであげているのはデータシート通りの使い方をしている場合のノイズの出方です。例えばこのキットではサポートされていないDSD256出力を出しています。http://toragi.cqpub.co.jp/tabid/742/Default.aspx
この場合だとサンプリングレートが恐らく256倍で動くので176.4kHz/192kHz時にノイズは見えなくなるはずです。もちろん逆の場合もしかりですが。
ノイズシェーピングノイズ。何言ってるのかよく分からない言葉ですが、現代的な⊿Σ型ADCチップで用いられている、全帯域の量子化ノイズを高域に持っていくノイズシェーピングで移動された、高域側のノイズのことです。簡単に言えばこれです。
ちなみにこのノイズをノイズシェーピングノイズと呼んでいるのは自分だけだと思います。正確を期すならば、「ノイズシェーピングによる高域のノイズ」となると思うんですが、人によってシェーピングノイズだったり、量子化ノイズ(元々は量子化ノイズ)、ディザノイズ(ノイズシェーピング自体がディザみたいなもの)と呼んでいるようです。まぁここではノイズシェーピングノイズに統一します。
さて、このノイズシェーピングノイズですが、ADCチップのアルゴリズムの影響をもろに受けます。そもそも帯域内に出ること自体おかしいのですが、DACに比べてADCはオーバーサンプリングが低倍数で行われているという現実があって、DACと違い、176.4kHz/192kHz時にはノイズが帯域内に出てしまうことがほとんどです。ですので、現行機種の場合、これの傾向を見ると大体ADCチップが特定できてしまいます。
そもそもノイズシェーピングはアルゴリズムにもよりますが、大体1/128Fsからノイズ量が増加してきます。DSDのノイズ分布をみると分かりやすく、DSD64の場合サンプリングレート2.8224MHzの1/128(つまり22.05kHzぐらい)からノイズが出てくるのが分かります。
現行のADCチップの設計は、ほとんどがある一定のサンプリングレートでサンプリングした後、ノイズシェーピングをし、指定のフォーマット、サンプリングレートにするためのフィルターを通しているため、最初のサンプリングレートとノイズシェーピングアルゴリズムが全フォーマット/サンプリングレートで大切になってきます。そして最初のサンプリングレートですが、ほとんどのADCが44.1kHz x 128です。つまり、44.1kHzあたりからノイズが出てきます。なのでサンプリングレートが176.4kHz/192kHz時にはそのノイズが帯域内に見えてしまうということになります。
つまり、ノイズシェーピングノイズの有無、またその量によってADCチップのサンプリングレートとアルゴリズムがある程度類推できる=ADCチップの特定が出来る、ということになります。
さて、長くなりましたが、肝心の見分け方行ってみましょう。
方法は簡単、ADCに何も信号を送らない状態でサンプリングレートを176.4kHz/192kHzにし、ノイズフロアを見るだけです。ここではWavespectraを使ってますが、まぁ何だっていいでしょう。
・ノイズシェーピングノイズがない
AKM AK5394AもしくはARDA AT1201です。
AKM AK5394Aは珍しく176.4kHz/192kHz時のみサンプリングレートが128倍だったものが44.1kHz x 256まであがります。AT1201は44.1kHz x 512でサンプリングしています。そのため、176.4kHz/192kHz時でもノイズが見えません。更に言えば、AT1201は384kHz時でも見えません。
注:AT1201の使い方によっては256倍でサンプリングしている場合もありますが、どちらにせよ、176.4kHz/192kHz時にノイズは見えません。
・ノイズシェーピングノイズが少ない(ピークが-120dB以下)
TI PCM4222、PCM4220。
・ノイズシェーピングノイズのピークが110dB前後
AKM系。
・ノイズシェーピングノイズのピークが100dB前後
Cirrus Logic系。
・ノイズシェーピングノイズのピークが90dB前後(もしくはそれよりも高い)
TI系。
以上。AKMの新しいシリーズがどうなるのか楽しみです。
・おまけ
ノイズシェーピングノイズの何が問題かというと、176.4kHz/192kHz時にノイズがあるとマルチトラック録音時に重なって、とんでもないことになるということです。そのままのレートで出す場合も再生時に混変調歪みを引き起こす可能性がありますし、SRCして低レートにする場合も折り返しノイズもしくはプリ/ポストエコーが異常に出る恐れがあります。
解決策としてはプラグインか何かのEQでハイをカットすることが挙げられますが、20kHz以上をサポートしているEQは少ないです。プラグインではFabfilter Pro-Q2,DMG Audio EQuilibriumでカットできることを確認しています。
ちなみにTASCAM DA-3000はTI PCM4202を使っていますが、それで192kHzのマルチトラック録音をし、ノイズシェーピングノイズをケアしないととんでもないことになります。
気をつけましょう!
・おまけのおまけ
ここであげているのはデータシート通りの使い方をしている場合のノイズの出方です。例えばこのキットではサポートされていないDSD256出力を出しています。http://toragi.cqpub.co.jp/tabid/742/Default.aspx
この場合だとサンプリングレートが恐らく256倍で動くので176.4kHz/192kHz時にノイズは見えなくなるはずです。もちろん逆の場合もしかりですが。