佐野元春/Someday (Sony BluSpecCD2)

初めにこれを読んでいただければ幸いです。http://serieril.hatenablog.com/entry/ar68708

こんばんわ。佐野元春/Someday (Sony BluSpecCD2)のレビューをします。

SonyのBluSpecCD2に関する説明は置いといて、個人的な印象では低域がマッシブになるような音になる印象があります。それが良い場合もありますし、悪い場合もありますが、BlueSpecCD1の頃はいやらしくない程度に収まっていたので、結構買っていました。

佐野元春/Someday(BluSpecCD2) 6/10点
リマスタリング:バーニーグランドマンスタジオ 前田康二


 今、ニコニコ市場で登録しようとして気づいたけども、このCD今日発売なんですね。昨日届きました。意図せず最新レビューになってしまいそうです。
 本CDは旧盤も持っています。既に持っているCDなのに高音質盤が出ればオーディオオタクです。いや別に買わなくても良いんですけども。むしろ買わない方が健全です。えっと、ちょっと定かではないのですが、これだと思います。

 なんと、BluSpecCD2の方が安いんですね。さて、どちらを買うべきなんでしょうか。

 私なら旧盤を買います。何が違うかというと2曲目のHappy Manを聞くと分かりやすいと思いますが、BluSpecCD2は低域が過剰にブーストされています。更にやや位相がおかしくかなり広がって聞こえます。3曲目のDown Town Boyも分かりやすいですね。全体的にそういうマスタリングの傾向があります。
 ただ、BluSpecCD2の良いところもあります。全体的に音圧が上がっていて、各楽器の音や構成が非常に分かりやすいです。BluSpecCD2を聞いてしまうと旧盤は非常に物足りなく感じるかもしれません。でも、自分は旧盤の方が好みです。BluSpecCD2の方は低域の量がかなりあるので、視聴する音量をかなり音源に決められてしまいます。自由ではありません。

 1曲1曲についてレビューしましょう。

 Tr1.Sugartime
 正直この曲がこのアルバムにしては一番バランスが整っている気がします。
 スネアの抜けが非常に美しいですね。バスドラはかなり団子ですが、この曲はこれでいいと思います。この曲に限りませんが、旧盤に比べるとかなり中域をブーストしています。旧盤ではかなりかすれ気味のボーカルですが、本盤ではかなりボリューミーなボーカルになっています。ここら辺は好みのわかれるところでしょう。
 また、途中のささやくような”I need you”ですが、本盤ではかなり聞こえやすくなっていますが、私は旧盤の本当にささやくようにつぶやかれる方が、ぐっときます。私が歌詞に言及することは、かなり珍しいのですがそっちの方が良いでしょう。素晴らしい歌詞と構成です。

 Tr2.Happy Man
 この辺りから違和感を覚えるようになってきます。まず耳につくのは、左右にPANを振ってあるボーカルの重厚感、そしてずどーん、ずどーんとレゾナンスがある低域。しかも右から左への残響音がアタックに比べてかなり残っているので、位相がおかしいように聞こえます。確かにボーカルは旧盤よりもこっちの方が聞こえやすいのですが、低域には疑問が残ります。
 旧盤ではかなり疾走感のあるように聞こえるのですが、本盤ではもたっているというといい過ぎですが、落ち着いているように聞こえます。
 
 Tr3.Down Town Boy
 これもバランスが良い方ですね。それでもかなりキックが大きいですけども。タムもズドズド言ってしまっています。全体的に軽快さが失われてます。ボーカルの軽いリバーブとミスマッチですね。

 Tr4.二人のバースデイ
 大体上記3トラックと似たような感じです。違うのはボーカルとドラムですね。ボーカルのダイナミクスがかなり整えられているので、表現が狭まっているように感じます。また、歌いだしの「はじめてきみが」の”は”が少しローが極まってしまっています。

 Tr5.麗しのドンナ・アンナ
 このトラックに限って言えば、低域のレゾナンス感が気持ちいいと言えば気持ちいいかもしれません。
 
 Tr6.Someday
 表題曲ですが、傾向は同じです。ただ、このトラックのボーカルの膨らみ方は異様です。

 Tr7.I'm In Blue
 同傾向です。

 Tr8.真夜中に清めて
 この曲は曲調が違いますが、この曲のボーカルも膨らみ過ぎのような気がしますし、サビとそれ以外での違いがかなりはっきりしているため、違和感を覚えます。

 Tr9.Vanity Factory
 冒頭のピアノの質感は、圧倒的に本盤の方が上です。また、旧盤の方ではボーカルがスネアに隠れて(スネアが大きくて)少し聞き取りづらいですが、本盤ではかなり聴きとりやすくなっています。

 Tr10.Rock&Roll Night
 本トラックに限って言えば、本盤のボーカルの質感の方が良いですし、聞き取りやすいです。コーラスの盛り上がり方も非常に良いですが、やはり低域が過剰です。

 Tr11.サンチャイルドは僕の友達
 本トラックの低域のレゾナンスは見事です。量感はありませんが、遠くで鳴っている感じが非常に良いです。旧盤もそれと似た感じがありますが、本盤の方がより余韻がきれいですし、ボーカルの質感も曲と合っています。本盤よりも良いと言えるのは本トラックだけかもしれません。

以上、各トラックごとの感想でした。全体的に音圧が上がり、ボーカルとドラムがかなり変わっています。小さいスピーカーには良いかもしれませんが、低域が出るような環境ではかなり制御するのが難しくなっています。

また、参考になるか分かりませんが、1曲目のSugartimeの旧、本盤の波形を載せておこうと思います。
旧盤Sugartime


本盤Sugartime


旧盤Sugartime-"I need you"の部分


本盤Sugartime-”I need you”の部分


以上です。あくまで個人的なレビューなので、自分の耳で聞いてたしかめてください。