TASCAM Hi-Res EditorとKORG AudioGate3の比較

・2015/06/24 V1.01でのIntファイルを扱う際のバグ追記。それに伴い、PCM-DSD変換のソースファイルを32bitFloatに変更。
・2015/07/02 V1.02にて、↑のバグが直っていることを確認しました。

多分どこもやらないと思うので自分でやるぜ!serです。

 TASCAM Hi-Res Editorがリリースされました。DSD256、PCM384kHzまでの再生、カット/マージ編集が出来て無料!素晴らしい!
 無料と言うだけで非常にありがたいですが、その中身、特にPCM-DSD変換、DSD-PCM変換はKORG AudioGate3と比べると、どうなんでしょうか。比較してみました。ちなみに同じようなことはPCM-DSD変換ソフトの性能比較DSD-PCM変換ソフトの性能比較でもやってます。

・PCM-DSD変換
 32bitFloat/88.2kHzPCMの1kHz-3dBのサイン信号をTASCAM Hi-Res EditorとKORG AudioGate3、ついでに自分で作ったPCM-DSD_ConverterでDSD64に変換し、FFTしました。
 7項ブラックマンハリス窓を使い、FFTサイズは32768x64。FFT結果20サンプルの平均です。1kHzでノーマライズしてあります。また、比較用の変換元PCMはFFTサイズを32768にしてあります。

 TASCAM Hi-Res Editorはノイズシェーピングフィルタに現在一般的なチェビシェフ2型ではなく、バターワース型を使っているようです。

DSD-PCM変換
 32bitInt/88.2kHzPCMの1kHz-3dBのサイン信号を、PCM-DSD_ConverterでDSD64にしたものを、TASCAM Hi-Res EditorとKORG AudioGate3でPCM24bit/88.2kHzに変換し、FFTしました。
 7項ブラックマンハリス窓を使い、FFTサイズは32768。FFT結果20サンプルの平均です。1kHzでノーマライズしてあります。また、比較用の変換元DSDFFTサイズを32768x64にしてあります。

 AudioGate3の高品位よりやや劣り、低負荷よりも勝るといったとことでしょうか。DSD-PCM変換はTHD+N比較だと差が出にくいです。

DSDの波形表示
 DSDは1bitなので、そのまま波形表示しようと思うと海苔になります。実音部の波形表示にするには、LPFをかける必要があります。PCM-DSD_Converterで24bit/176.4kHzの20-88000Hzリニアサインスイープ信号をDSD変換したものを波形表示させてみました。

 TASCAM Hi-Res Editor


 KORG AudioGate3


 ちょっとTASCAM Hi-Res EditorはLPFがかかるのが早いですね。5kHzあたりから正しく表示されていません。対してKORG AudioGate3は大体20kHzあたりまでは正しいです。上はどちらも40kHzといったところでしょうか。

 TASCAM Hi-Res Editorは他にも波形表示に時間がかかる、動作がもたつくなどKORG AudioGate3に比べると気にかかる部分はありますが、リリースされたばかりですし、無料ですし、今後に期待したいところです。

・追記(2015/06/24) ※v1.02にてこのバグは直っています。
 TASCAM Hi-Res Editorの挙動に気になるところがあったので追試してみました。
 PCM-Intファイルを正しく読み込めていないらしく、PCM-Intをソースとして何かしらの編集、変換をすると量子化ノイズが増大するようです。Floatなら問題ありません。
 なお、Int出力時に丸めがされていないので、量子化ノイズが増大しますが、仕様だと思われます(AudioGate3のようにディザの有無ぐらいはあっても良いのかなと思いますが)。
 以下Float出力時の元ファイルがInt,Floatの比較グラフです。
 
 Edit(赤=青でグラフが上書きされていますが、未劣化と言うことです)


 PCM-PCM Convert(88.2kHz-176.4kHz)


 PCM-DSD Convert(88.2kHz-DSD64)


 まぁ、単純なバグだと思うのでそのうち直るでしょう。