SSL X-Panda導入・・・するはずでした

衝動買いって恐ろしい。serです。

 SSL X-PandaがJRR shopのBlackFridayセールで900ドル(送料込みで993.24ドル、日本円にして手数料含め105,385円)だったので買いました。日本で買えば39万円程なので大体70%オフといったところでしょうか。

 ※個人輸入で音響機材(ハードウェア)を買うのは、おすすめしません。ソフトウェアと違ってハードウェアは絶対壊れるものですし、初期不良に出会った時の手間を考えると、全くメリットがないと言っていいです。特に最近の音響機材は、SSLもそうですが、国内代理店が並行輸入品のサポートを修理から何から何まで含めて受付しないという傾向にあるので、初期不良を回避したとしても、自然故障の際、修理先を自分で探す必要があります。繰り返しますが、おすすめしません。

 70%オフで手に入れたX-Pandaですが、買ったのには一応理由があります。前からDSDにダイレクトで2trに落とす際に、サミングするためのミキサーが欲しいなぁと思ってました。今まではMackie 1402VLZ3を使ってましたがHA部でクリップしやすいし(マイクプリのヘッドルームが広すぎてそれに甘えている部分もありますが)、これでサミングしたところで悪くなりはしても良くはならないなぁと感じていたからです。

 録音時に直でマスターに落とす際に求められているルーティングは以下のようになります。

 つまり以下の要件を満たす必要があります。
 ・各Chにダイレクトアウトプットがある
 ・各Chのレベルをフェーダーもしくはポッドでコントロールできる
 ・各ChにPANがある
 各Ch毎のダイレクトアウトプットは別途スプリッターを入れれば良いので、無くても大丈夫ですが、それでも満たしている製品がなかなかありませんでした。

 例えば、SPL Mixdream XPだとPANとボリュームコントロールがついていません。
 Phoenix Audio Nicelizer 16 mk2はPANはついていますが、ボリュームコントロールがついていません。
 全て満たしているのは国内で手に入るものだとRupert Neve Designs 5059 SatelliteとSPL Neos、SSL X-Desk、SSL X-Panda、SSL Sigma。ダイレクトアウトプットを除くと、AMS NEVE 8816とSM Pro Audio PM8が当てはまります。(あげていて結構あるじゃんと思ったのはナイショ)

 SPL Neosは高すぎて手が出ないですし、Rupert Neve 5059とAMS NEVE 8816は求めている音とちょっと違います。SSL Sigmaはコントロールを全てPCでやるというのに不安があります。となると残るはSSL X-Desk,X-PandaとSM Pro Audio PM8になります。
 実はSSL X-Deskは某所で試す機会があって、ちょっとこれに大金を払うのは無いな、という印象があったので、SM Pro Audio PM8にスプリッター買って、とりあえずとして使うかなぁと考えていました。ただ、スプリッターも8ch分買うと結構するしなぁと思っていたので、10万強で買えるというのは色々の不安要素をふっ飛ばしました。とりあえず買うしかないだろうと!買って音がダメなら、なんか、あれこれしてモノにしてやろうと!

 買ったは良いものの、X-Pandaは全てD-Sub25pinケーブル(TASCAM配列)による入出力です。うちにはD-SubーXLR-Mx8とD-SubーXLR-Fx8の2本しかない上に、これはLynxAurora8で使っているので買い足す必要があります。
 X-Pandaには主として8chのモノ、4本のステレオ入力があり、それらの信号はChannel_DirectOutputからダイレクトアウト(プリ/ポストフェーダー選択可)出来て、SSL Unite出力のMixBus_Out/CueBus_Outから2mixが出力できます。
 ここで問題になるのがSSL Unite出力です。

拡大してみてください
( http://www.solid-state-logic.co.jp/docs/XLogic_X-Panda_Install_Guide.pdf より引用)

 
 X-PandaのMixBus_Out等はSSL Uniteからしか出力できないのですが、1,2,3,14,15,16ピンの信号がTASCAM配列でのライン信号ではありません。特に問題となるのがSSLの機材とリンクを取るための1ピンのAFL Enable信号で、ライン信号と異なる5V程度の出力があるため、他メーカー機材に繋ぐと不具合/故障の恐れがあります。
 1,2,3,14,15,16ピンはそのまま7,8chのピンアサインなので、先がパラで結線しなければ問題ありませんが、D-Sub-D-Subケーブルは使えないということになります。

 以上を踏まえて、使用する時に想定されるルーティングは以下の通りです。

録音

 マイクプリからX-Panda、X-PandaからDSDレコーダーへのD-Subケーブルはあるので、X-PandaからADコンバーターに入れるD-SubーD-Subケーブルが必要になります。

DAWからの出力をサミング

 X-PandaからADコンバーター、パッシブプリへのケーブルはSSL Uniteのピンアサインの問題があり、D-SubーXLR-MとD-SubーXLR-Fを組み合わせて使うことにしました。DAコンバーターからX-Pandaへの、D-SubーD-Subケーブルが必要になります。

普段のリスニング

 以前の記事に書きましたが、うちの環境ではミキサーをセレクター&ボリュームコントロール代わりにしています。そのため、使っていたMackie 1402VLZ3に代わってX-Pandaに信号を通す必要があるので、以前と同じようにSSL Unite出力のMixBus_Outを使って、どうでもいい音源をAD/DAコンバーターに入れようとするとSSL Uniteのピンアサインの問題から、D-Sub-D-Subケーブルではなく、D-SubーXLR-F、D-Sub-XLR-Mケーブルの2本が必要になります。
 もちろん、録音、サミングともにD-SubーXLR-F、D-Sub-XLR-Mケーブルでもまかなえますし、自由度は先パラのケーブルを使った方が高いです。ただ、D-SubケーブルはD-Sub-D-Subで1万5千円程度、D-Sub-XLRケーブルだと2万円と基本的に高いので、出来れば1本で済ましたいところです。
 マニュアルをぱらぱらめくっていると、Channel_DirectOutputはポストフェーダーに出来るのでレベルコントロールはここで出来ます。ミックスはLynxAES16eの内部ミキサーに任せることにしました。そうすると、全てのルーティングでD-Sub-D-Subケーブル1本追加すれば良いことになります。X-Panda自体はキューも合わせると16ch+16chのミキサーなので、今は8chしか使っていませんが、AD/DAコンバーターを追加すれば32chまで使えます。もちろん、それに合わせてケーブルも必要ですが。

 さて、構築までの話はここまでです。肝心の音質はどうでしょうか。X-Pandaを使う上で気になるのはサミングの音質と、ダイレクトアウトでポストフェーダーとして使った時の音質でした。前者は本来の用途ですが、後者はリスニング用のプリアンプとして使えるのかどうかに関わってきますね。
 サミングLynx Aurora8からのアナログアウトをサミングし、DV-RA1000HDで録音した時にDAW内部バウンスとの違い。プリアンプとしての音質はLynx Aurora8からX-Pandaのダイレクトアウトをポストフェーダーで使い、パワーアンプに繋いでチェックしました。

 チェックするはずでした。

 チェックしたかったです。

 この記事はX-Pandaへのわくわくが抑えられず届く前から書いていたのですが、注文してから1週間ほどしてJRR shopからメールが届きました。

 JRR shop「SSLが在庫管理をミスったせいで、本来無い分までオーダー受け付けちゃった。ごめんなさい。でも!SSLは代わりにDuende Native Studio Packをくれるってさ!これ1200ドルで売ってるものだし、すんげえいいよ!」
 SSL セールスマネージャー「私たちのミスです。本当に申し訳ない。ごめんなさい。深く反省しています。代わりにたくさん賞を取っている私たちのプラグインを差し上げます。ご了承ください。」

 ・・・

 がーん。

 というわけで、お流れになりました。気分はもうX-Pandaだったのに悲しいです。代わりにプラグインもらえるのはありがたいですし、しかも欲しかったSSL系(純正なので系ってつけるのも変ですが)のバスコンプがついてきます。D-Subケーブル買ったのは(気分はもうX-Pandaなんで発注しちゃいました)、後々を考えれば無駄になりませんし、導入するサミングミキサーは適当にまた検討します。

 え?Duende Native Studio Packのレビュー?そんなのする気分じゃねえよ!